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ハピスノ編集長対談

[人気スクール代表×ハピスノ編集長]スキー場はスクールで選ぶ時代へ!

ハピスノ編集部 2022.03.08
キッズスクールを日本全国で展開する株式会社パンダルマンの白川直樹さん、KIRARA KAMP代表の橋本通代さん。ハピスノ編集長にキッズスクールの重要性を教えてくれたおふたりとの座談会レポート。お酒も入りつつのため、対談時間はじつに4時間…。ここではお話できないことばかりでしたが(笑)、そんななかから読者諸賢にお伝えしたいことのみを書き起こしてみました!
  • いまやキッズスクールの第一人者! 白川直樹さんと橋本通代さん

    株式会社パンダルマンの白川直樹さんといえば、「パンダルマンキッズスクール」や「クレヨンしんちゃんキッズスキースクール」など、キャラクター&特許取得のカリキュラム「マジックレッスン」が評判で、いまやキッズスキースクールの代名詞ともなりつつある存在。

    一方、KIRARA KAMPの橋本通代さんはソルトレイクシティ五輪日本代表のスノーボーダーで、怪我をきっかけに競技の一線から退き、その後は“スノーボードを通じてキラキラと輝く子供を育てたい”とキッズキャンプを主宰。そのスキルと経験をもとに、7シーズン前からスノーボードスクールの代表に。

    ハピスノ編集長とは、ともにスクール立ち上げ前からの旧知の仲。じつは、ハピスノ編集部がキッズスクールを紹介する際にキャッチフレーズとして掲げている"スキー場はスクールで選ぶ!"というコンセプトは、まさに、このおふたりとの出会いをきっかけに生まれたものでした。

    今回は、そんなおふたりとハピスノ編集長との座談会レポート。スクール選びに悩んでいるパパ・ママはもちろん、スノー業界関係者の方々もぜひご一読ください。

  • 「スキー場はスクールで選ぶ!」誕生の契機となった出会い

    [ハピスノ編集長(以下、編集長)]白川さんとのお付き合いは、わたしがまだ「Bravoski」(株式会社双葉社が発行するスキー誌)の編集をしていた時代からですから、かれこれ、25年くらい。長い…(笑)あの頃はふたりともフリースタイル一筋。スノーパークや大会の取材ばかりしていましたね。

    [白川直樹さん(以下、白川)]もう25年も経つのかぁ。お互い、フリースキーから一転して、ファミリースキー市場に目を向けて。不思議な関係だね。

    [編集長]わたしがまだペーペーの頃からお世話になって、業界のイロハを教えていただいたので、ホント、頭が上がりません(笑)

    一方のみっちゃん(橋本通代さんの愛称)とは、お互いに、ファミリー層へのアプローチを始めていましたが、ふたりとも、まだまだ試行錯誤の段階。

    わたしとしては、みっちゃんはキッズスノーボード業界ではすでに第一人者という認識だったので、なかなか声をかけづらい存在でした。だって、ファミリースキー&スノーボード市場に特化したのはわたしのほうが後発で、ひとつもふたつも上の存在だったので。

    だから、みっちゃんから声をかけてくれたのは、本当にうれしかったことをいまでも覚えています。

    [橋本通代さん(以下、橋本)]たけちゃん(ハピスノ編集長の愛称)が以前、編集長をしていた「ファミスキ.jp」(株式会社ピーエスジェイコーポレーション発行)をいろんなところで見かけたのがきっかけです。

    広報の上手なメディアだなぁと。第一人者なんてことはなくて、軽井沢に引っ越してきたばかりで苦労していたので、藁にもすがる思いでお会いしたのを覚えています。

    [編集長]たしかに、お会いしたときは軽井沢を拠点に事業を始められたばかりで、ビジネスとしてはこれからでしたね。でも、試行錯誤を繰り返し、いまでは、3つのスクールの代表。尊敬します!

    では、そろそろ、本題に(じつはこの時点で2時間くらいが過ぎていたのでした…)。

    今回、おふたりとの座談会をセッティングさせていただいたのは、ハピスノが提言しているスキー場選びのコツのひとつが、おふたりとの出会いがあったからこそ生まれたもので、わたしが感銘を受けたことを読者諸賢にもお伝えしたいと考えたからなんです。

    「スキー場はスクールで選ぶ時代へ!」

    多くのパパ・ママは大切な子供を預けるスクールを軽視していないかな?と。たぶん、スクールを選ぶという感覚で、子供にレッスンを受講させたというパパ・ママは本当に少ないと思うんです。

    だって、スキー場を先に選んでしまうから。スキー場を決めてしまえば、ほとんどのスキー場ではスクールの選択肢なんてないんです。子供のレッスンはこのスクールでしか受講できません、というスキー場がほとんどだから。

    もちろん、すべてのスクールが、いや、すべてのインストラクターが子供を教えることに長けていれば、なんら問題はないのですが、じつはそうではない。インストラクターの格差はたぶん、一般の方が想像している以上に大きい。あくまで、わたしの実感ですけど。

    だから、子供にレッスン受講をさせるときは、スキー場ではなく、スクールを先に選んでほしい。という思いから生まれたのが、「スキー場はスクールで選ぶ時代へ!」というキャッチなんです。

  • “教えないスクール?!”がコンセプトのマジックレッスン

    [編集長]まずはわたしの思いの丈をお話させていただきましたが、そう感じられたのも、情熱をもってキッズスクールという分野に取り組んでいるおふたりの存在があったからこそ。そんなおふたりの思いを読者の方々に教えてあげてください。

    ということで、最初にお伺いしたいのは、子供に教えるとき、どういうことを心掛けていますか? まずは白川さんから。白川さんはご自身では教えていらっしゃいませんが、所属するインストラクターの方々に、どう指導されていますか?

    [白川](子供には)教えない(笑)

    [編集長]えっ、なにも?

    [白川]子供に対しては教えちゃいけないんですよ。一緒になって遊ばなきゃいけない。それは、わたしの考えの大前提ですね。一緒に遊んでいるうちに、それが楽しくなって、好きになるっていう状況を作らなきゃいけない。こっちが教えるとなった途端、子供たちは教わるから、上下関係ができちゃうんです。

    だから、うちのスクールのインストラクターにも、とにかく子供の笑顔を作ろう!って話しています。子供の笑顔が欠けたら、不安を感じているということ。でも、教えることに集中しちゃうと、技術を伝えることを優先してしまい、コミュニケーションは二の次になっちゃう。

    だから、パンダルマンキッズスクールをはじめとするわたしのスクールでは「マジックレッスン」というプログラムを作ったんです。自動的に、ベルトコンベヤーのように、そこを流れていくだけのレッスンで上達するカリキュラム。だから、先生は子供とコミュニケーションをとることに集中できるんです。

    [橋本]なるほど。

    [白川]あとは、いきなり外でレッスンして、吹雪になって、濡れる、寒いってなったら、その時点で子供はストレスを感じているでしょ。それを解放しようとする先生に余計なエネルギーがかかるわけです。自然だからしょうがないんだけど、子供と先生のストレスを解消するために、室内レッスンが生まれたんです。

    [編集長]“教えないスクール”って、おもしろいですね。

    [白川]そのキャッチを使ったら、親御さんからは反感を食らうかもしれないけどね(笑)

  • 「スノーボードアテンダント」で広くスノーボードの楽しさを伝授!

    [編集長]みっちゃんのスクールでは、スノーボードをどう教えていますか?

    [橋本]答えになってないけど…、私は、白川さんにスノーボードのターンを習得するまでのカリキュラムを一緒に作ってほしいって思っちゃいました。

    [白川]え?

    [橋本]ターンの習得までを、マジックレッスンみたいにシステマチックにできたら、ほんといいなって。スノーボードはターンができるようになってからの世界が無限。だから、なるべく簡単な言葉で伝えて、せめて2回のスクール受講で連続ターンにたどり着くよう心がけています。そして、ターン後の世界の楽しさを味わってもらいたい!

    [白川]ターンの後の世界って、たとえば、どういうこと?

    [橋本]ターンができれば、ハーフパイプもできるし、ジャンプもできるし、カービングもできるし。私も22年ぐらいスノーボードをやっていますけど、まだまだ楽しみが尽きないから。みんなにも、人生とともにスノーボードを楽しんでもらえるよう、ターンまでを最速でクリアするお手伝いをしたいなって考えてレッスンしています。

    [編集長]スクール格差のほかに、インストラクター格差があるでしょ。みっちゃんは、教え手を育成することもしていますよね。

    [橋本]SA(スノーボードアテンダント)ですね。スノーボードを教える人ってまだまだ少ないんです。私はフリースタイルの世界にいましたけど、そこでは、みんなスノーボードを教えることをあまり好まないっていうか。自分が楽しみたい、自分を表現したい人が多いんです。それはそれで、見ている人を元気にしますし、かっこいいんですけど。

    でも、ちょっとでも興味がある人には教える側にもまわってほしい。どちらかというと、上達を助けるっていうよりは、楽しさをアテンドすることができるようになってほしい。キャビンアテンダントみたいに、「スノーボードアテンダント」ってブランディングしたら、インストラクターっていう名前よりは、スノーボーダーに受け入れられるかな?って。

    そこで、「SAクリニック」という講習を年に数回やってみたんです。そうしたら、子供に教えたいママとか、友達に教えたい人が参加してくれて。自分ができても、人に教えるとなると全然違うので。はじめての人は、装着も、歩くのも、リフトに乗るのも、すべてがドキドキ。だから、簡単な10ステップぐらいで、ターンまで習得できる方法をシェアするのが「スノーボードアテンダント」のコンセプトです。

  • キッズスクール受講は必須! スキーは3歳開始がベストタイミング

    [編集長]いまさら論かもしれませんが、そもそも、スキーやスノーボードをはじめてやる子供は、スクールに入れたほうがいいと思いますか?

    [白川]もちろん! シンプルに、パパやママが教えるよりはスクールに任せたほうがいいと思いますよ。インストラクターって、子供を楽しくする、子供のいい思い出を作るためのプロフェッショナルなので。

    [橋本]わたしもスクールには入れたほうがいいと思います。スノーボードって、脳震盪とか手首の骨折とか、ケガが多いんですよね。インストラクターなら安全なステップを踏んで教えられるので、ぜひスクールに入って、安全にスノーボードを楽しんでもらいたいです。

    [編集長]では、スキーやスノーボードを始めるタイミングはいつがいいと思いますか?

    [白川]いつでもいい!と言いたいところですが、脚力の問題はたしかにあるんですよね。ただ、脚力が弱くても、バランスが取れさせすれば、正しい姿勢で滑れるんです。じゃなきゃ、シニアスキーヤーなんて、ひとりもいなくなっちゃう(笑)

    3歳でも4歳でも、まったく問題ないですよ。それに、スキーやスノーボードに関わらず、スポーツはゴールデンエイジである3歳から始めるのがベスト。3歳から、ある程度の体幹を作ったり、運動を覚えていかないと、12歳を過ぎてからは遅いと言われていますよね。

    [編集長]そんなゴールデンエイジ世代も、コロナ禍でスポーツのチャンスが減っていると思うんです。スキー&スノーボードは密回避スポーツのなかでも究極の存在。安全・安心に、子供にとって大切な体幹を作りあげるためにも、ぜひチャレンジしてみてほしい! いまこそ、スキー&スノーボードを(笑)

  • スキーはバランススポーツの究極! ボードは歩けるようになったらOK

    [白川]わたしは世の中のバランススポーツの究極がスキーだと考えています。たとえば、野球とかサッカーとかゴルフとか、カラダの片側だけを使いがちなスポーツをやっていると体幹がねじれてくる。一方、スキーは左右対称の運動だから、子供のカラダを作るのには最適なんです。

    あと、自分の力だけで標高差を感じられるスポーツって、やっぱり、スキーやスノーボードが究極。高低差を感じて、重力を感じて。しかも瞬間移動だから快感だし、子供の脳にとっても刺激的だし!

    [編集長]みっちゃんは、いつから始めるといいと思いますか?

    [橋本]スノーボードって、そりみたいだなって思うんです。立って乗るそり。だから、歩けるようになったら、スノーボードっていうそりに立って乗っかってもらいたい。リフトに乗らなくてもいいから、雪の上で、そりに立つ感覚でやってもらったら、きっと楽しいし。

    ただ、スキー場って結構スピードを出して滑る人もいるから、わたしは、自分の子供が未就学児のときは、スキーハーネスを付けて滑るようにしていました。

    [白川]スキーハーネスってなに?

    [橋本]引っ張り紐です。親子スノーボードって、自分が見ている景色を子供にも見せてあげられる特別な時間で。はじめてのスノーボードで、安全を確保しながら、会話しながら、ゆっくりとしたスピードで、同じ景色を見た時間って、わたしにも子供たちにも、かけがえのないものとして記憶に残っているんですよね。

  • 親離れできていない子供に対するふたつのスクールの対応は?

    [編集長]続いての質問です。スクール開始時、親と離れるのを嫌がる子供もいるじゃないですか。そういう場合、スクールとしてはどういう対応をしていますか?

    [橋本]わたしは、あんまり無理をさせないですね。だって、せっかくなら、楽しいスノーボード体験にしてほしいから。しかも、スノーボードは普段と違って両足が固定されちゃうわけで、不安要素も多い。だから、余計な不安を取り除くために、お父さん・お母さんがよければ、近くにいてもらうようにしています。

    それで、子供が先生を信頼できるようになったらお預かりさせてもらうし、やっぱり子供の負担が大きいようだったら、元気になったら、いつでも戻ってきてくださいって言っています。

    [白川]マジックレッスンの場合は、ブーツを履かせることが先決。レッスンが、ブーツから流れていくシステムなんです。まずは、ブーツを履かせてゼッケンを付けて、手袋を付ける。その前にトイレにも連れて行ったり。流れでスムーズに進行していくようなシステムにしちゃったんです。

    だから、まずは靴を履かせることが第一歩! ちなみに、じつはガン泣きしていた子ほどリピーターになってくれるケースが多いんです。要するに、はじめて親離れした子供に、外の世界を見せてくれたのが教えてくれたインストラクターで、好きになって帰っていく子が多いんだと思います。

    だから、外遊びは危ないとか言っている親御さんも、スキーに連れてきてほしいですね。ウィンタースポーツは家族旅行にもなるから、コミュニケーションをとる絶好の機会になるんですよね。

  • スキー&スノーボードを生涯レジャーにすることがスクールの役目!

    [編集長]では、最後の質問です。究極かもしれないですけど、スクールは、どう選んだらいいでしょうか。わたしとしては、保育士的センスがあるというか、子供に慣れているインストラクターがいる必要があるとは思っています。

    だから、まずはスキー場に子供が多いスクールに入れましょうって。そんなスクールのインストラクターなら、子供を教えている機会は間違いなく多いですから。あとは、同じような理由から、キッズ専門のスクールもおすすめ! そんな提案をしています。

    [橋本]私自身も子育て中なので、はじめてのスクールってすごく迷います。先日、子供が初マウンテンバイクでスクールに入ったんですけど、ホント悩みました。で、スノーボードに置き換えてみた。子供のスクールって、なんでも一緒なのかな?って。

    となると、やっぱり重要になるのは体験する環境ですよね。あとは、財布の問題もあるから(笑)、料金。そして、もちろんプログラムも。自分はそういうところを見るようにしています。

    [編集長]なるほど。基本的に、スクールってスキー場に紐づいているから、単体でホームページを持っているところは、圧倒的に少ないんですよね。ホームページがあっても、データ的な情報しか載せていないところもいっぱいあるし。

    しかも、レッスンの優劣って、スクールというよりはインストラクター個々人のホスピタリティが重要だったりする。そういう意味で、ホント、選び方が難しいなって思うんです。

    [橋本]わたしがいちばんリスペクトするのは、子供とか初心者にスノーボードの楽しさをしっかり教えられる人! そういう人にスクールで出会えるかどうか。出会えれば、たぶん、スノーボードは生涯のレジャーになるし、その反対も残念ながら…。ほんと、スクール選びって重要ですよね。

    [編集長]結論が出たような出てないような…。今日はありがとうございました! これからも、ハピスノ編集部としておすすめできるスクールとして、さらには、キッズスクールのお手本となるようなスクールとして、がんばってください。期待しています。


    ■白川直樹さん
    株式会社パンダルマン 会長。設計エンジニア。スキー場設計やスノーパークプロデュース業などを経て、「パンダルマンキッズスクール」「クレヨンしんちゃんキッズスノースクール」をはじめとするキッズ専門スキースクール、国内外全12施設を運営中。

    ■橋本通代さん
    ソルトレイクシティ五輪ハーフパイプ日本代表。軽井沢在住で、夫婦で「ライオンスノーボードスクール」(軽井沢プリンスホテルスキー場)「スクールオブスノーボード」(軽井沢スノーパーク/めいほうスキー場)、3つのスクールを運営。キッズキャンプ「KIRARA KAMP」を主宰する。

    ■竹川紀人(ハピスノ編集長)
    ファミリースキー関連メディアのディレクターをしてはや10数年。「ハピスノ」は3年前に創刊し、今季で4シーズン目。現在、雑誌でスノーリゾート企画監修や「トラベルjp」「tenki.jp」「ウレぴあ総研」などでweb記事執筆中。

ハピスノ編集部
ファミリーを対象にしたスノーリゾート取材本数“自称”日本一の編集部。取材のモットーは、実際に子供を連れて、そのスキー場を余すことなく体験すること。そうして見えてくることを紹介したい! この冬も「ハピスノ応援団」の団員とともに、全国各地のゲレンデに出没する予定。