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ハピスノ編集長対談

【編集長対談】“旅育”と“雪育”のプロが対談! 子供の“心”と“脳”が育つ「旅育」を実践しよう

ハピスノ編集長●竹川紀人 2026.06.12
「旅育」という言葉をご存じですか? ハピスノ読者は「雪育」はご存じかと思いますが、雪育も旅育を参考にしながら展開してきたものなんです。

今回は、2013年、自身の子育て、親子旅の経験から「旅育メソッド🄬」を提唱され、そのメソッドを次世代に向けて継承すべく活動している、旅育コンサルタントの村田和子さんにお話を伺いました。

親子の絆を育むのに、家族旅行は絶好の機会

【ハピスノ編集長 竹川紀人(以下、竹川)】今回、改めて「旅育」について調べていて気づいたのですが、村田さんが「親子の旅育メソッド」を発表されたのは2013年だったんですね。じつは、雪育も2013/14シーズンが立ち上げた年。より親近感が湧いてきました。

【村田和子さん(以下、村田)】「雪育プロジェクト」の記者発表があり、竹川さんとお会いしたのもそれがきっかけだったと記憶しています。

【竹川】そうでした。村田さんにはぜひご覧いただきたくてご案内したのを覚えています。わたしはその後、転職などもあり、正直、雪育については概念的な部分のみで停滞しており、2013年にすでにメソッドまで提唱されて、その後も媒体を通じて認知を広げている村田さんの展開とは大きな差が…。

【竹川】村田さんはどういった経緯で「旅育メソッド🄬」を立ち上げられたのですか?

【村田】2001年に息子を授かり、はじめての家族旅行は息子が生後4ヶ月。慣れない育児で疲れた、わたしのための旅でした。当時はまだ家族旅行に対する施設側のサービスも成熟しておらず、準備はたいへんでしたが、それでも旅先では日常から解放され、帰宅後は元気に育児に取り組めたんです。

産後うつも社会問題になるなか、お母さんに旅でリフレッシュしてほしいという思いから家族旅行について発信を始めたのですが、息子が成長するにつれ、親子の絆を育むのにも家族旅行は絶好の機会であることを実感したんです。

【竹川】その苦労や親子の絆を育むことができた実体験から、旅育の重要性を説きたいとなったんですね。

【村田】当時は家族旅行といえば、レジャーというイメージが強かったのですが、「それだけじゃない」と。母として、旅の専門家として、旅を子育ての場として考え試行錯誤するなかで、親のちょっとした心がけが旅での学びを深め、子供の日常や人生にもプラスに働くと考え、メソッドとしてまとめたんです。

「旅育メソッド🄬」では旅で楽しみながら、子供の自主性や個性を伸ばすヒントを紹介しています。

旅を通じて、子供の“生きる”力を育む

【竹川】そもそものお話ですが、村田さんが考える旅育について教えてください。

【村田】わたしが考える旅育とは、旅を通じて、子供の“生きる力”を育むこと。“生きる力”とは、①自己肯定力を高めること、②コミュニケーション力を養うこと、③知恵を育む力を習得すること、と定義しています。

子供には「自分らしく、豊かで幸せな人生を送ってほしい」、「夢や理想を持ち、それに向かって歩んでほしい」という思いを持ちながら、旅育を実践してきました。

【村田】旅育メソッド🄬発表から13年が経ち、最近は次世代へどう継承するかを考え、企業や自治体とコラボしたワークショップなどにも力を入れています。

【竹川】同じく、子供の「育」に関する活動をする立場として、旅育の延長にあると考えている雪育とも通じる部分があると感じますね。スキー&スノーボードはスポーツでもあるので自己肯定感を実感しやすいですし、他の大人やお友達と触れ合う機会も多いからコミュニケーション力も養える。

さらに、基本、滑走中は自分で試行錯誤する機会も多いので、知恵を育むことにもつながっているのではないかと考えます。

5つのメソッドからなる 「旅育メソッド🄬」

【竹川】「旅育メソッド🄬」について教えてください。

【村田】最近、旅育を意識したイベントやプログラムが増えてきたと感じます。田植えや虫捕りなどの自然体験やモノづくり体験、お仕事体験のほか、ハピスノさんで実施されている初心者向けのスクールや親子で参加する雪上運動会なども、旅育につながるイベントですよね。

子供が未知の世界や人と触れ合い、実体験から学ぶ選択肢が増えるのは本当にありがたいことで、大いに活用してほしいと思います。

【村田】一方で、これらは旅育のツールであって、ただ参加するだけでは最大限の効果を引き出すことはできません。たとえば、同じイベントに、子供が自らの意志で参加するのと、親に言われたから参加するのとでは、モチベーションや得られるものが違うのは想像できるのではないでしょうか。

【竹川】たしかに、その通りです。イベントの現場に来てから、徐々にモチベーションを上げていくスロースターターなキッズもいます。

イベントやプログラムを運営する立場としては、いかに現場で子供のやる気を引き出すかも重要だとは考えていますけど、できるなら、最初から高いモチベーションで参加してほしいですし、そのほうが雪育、旅育的な効果は大きいかもしれませんね。

【村田】旅育というと、なにか知識を学ばせるものと考える方が多いのですが、わたしは、大切なのは親の子供への関わり方、親子のコミュニケーションだと思っています。そして、「旅育メソッド🄬」では、子供が旅から積極的に学び、生きる力を育むために、親が心がけたい心得やヒントを5つにまとめています。

どれも難しいことではありませんが、意識しているかどうかで子供との関わり方が大きく変わってくるはずですよ。

旅育メソッド🄬|子供と一緒に計画する

【竹川】5つからなるという「旅育メソッド🄬」について、詳しく教えてください。

【村田】ひとつめは、旅の計画や準備は子供と一緒にするということです。親に連れていかれるよりも、子供自身が旅行の計画づくりに携わったほうが、その旅に対するモチベーションは上がり、学びも大きくなります。

旅には明確な正解はありませんが、自分で計画した旅を追体験することで、「この場所はよかった」「次回はこうしたらいいかな」などの気づきにつながり、その試行錯誤は知恵となります。

一緒に旅行計画を立てながら、子供の意見に対し「なぜそう思うの?」という問いかけをしてあげると、子供自身が思いを言語化する練習にもなりますし、意外な子供の興味・関心に気づくことにもつながります。

【村田】さらに、ご両親も“子供のため”ではなく、「自分がこうしたい」と子供とフラットな関係で話すことが重要です。対等に接することで、子供がやる気を出すことも少なくありません。

【竹川】個人的なお話をすると、スキー旅行においては、わたしはたくさんの親子を連れて、数多くのスキー場に取材に行っているので、自分のなかに選択肢はあるにせよ、正解がどんとあった。だから、どこに行くかも、なにをするかも、妻にも子供にもほぼ相談をせず、わたしが決めていました。

もちろん、その旅行はひとつの正解だったとは思いますが、旅育という視点で考えると、もったいないことをしていたのかもしれませんね。

旅育メソッド🄬|子供に役割を与える

【村田】ふたつめは、子供の年齢に応じて、旅での役割や目標を設定。そして、達成したらしっかり褒めて成功体験としてインプットさせてあげるということです。

役割や目標はどんな些細なことでもOK。重要なのは子供自身が意識して行動することで、それによって責任感や積極性が芽生え、目標を達成するために粘り強さも鍛えられます。さらに、がんばったことを認められると小さな成功体験が心に刻まれ、自己肯定力の向上へとつながるんです。

【村田】ちなみに、この自己肯定力は実際に「できた」という成功体験を積むことでしか養われません。そして、成功を実感させてあげられるのが親御さんの褒め言葉。

日常の生活ではつい「できない」「やらない」ことに意識がいってしまい、褒めるのはなかなか難しいもの。旅先であれば、時間と場所が区切られるので、小さな目標が立てやすく、親御さんも褒めるタイミングがわかりやすいというメリットもあるんです。

【竹川】たしかに、旅先という限られたシチュエーションなら、褒めることも容易ですね。普段、怒られることが多いママ・パパから褒められるというのも、自己肯定力の向上にさらなる効果を生みそうな気がします。

旅育メソッド🄬|家族各々で過ごす時間も

【村田】3つめは、旅先では家族別々に過ごす時間を作るということです。子供にとって、親と離れ初対面の人と接することは、多様な価値観に触れ多くの刺激を受けることにつながります。

そして、自分が経験したことを一生懸命、ご両親に伝えようとしてくれるはず。それによって会話も弾みますし、未知の経験を共有し想像することで、旅の思い出は2倍にも3倍にも膨らむと考えています。

もちろん、親がリフレッシュして元気に日常に戻るために重要な要素でもあるんです。

【竹川】この3つめのメソッドについては、正直、雪育を立ち上げてすぐの頃は、家族旅行なのになぜ別々に? と疑問に思ったこともありました。

当時の国内のスキー場は、子供向けのスクールも現在のように成熟していませんでしたし、雪のある環境にいるのに、託児所には窓がないということも多々。子供を積極的に預けたいというサービスではなかったというのが大きな理由でした。

ですが、いまは子供の成長につながるサービスも増えてきていますし、わたしの考えも変わってきました。わたしが提唱する雪育で、いちばん大きく変わったのはこの部分かもしれません。

旅育メソッド🄬|本物に触れ、関心の芽を育む

【村田】4つめは本物に触れるということ。自然や歴史、文化といった“本物”に触れる、あるいはそこに生きる人や専門家と交流できるのも旅の魅力です。本物に触れることで、子供の五感が刺激され、感受性や新たな関心の芽を育むことにもつながります。

新しいものとの出会いが多い旅では、子供自ら疑問を口にする機会も多くなることでしょう。その疑問こそが脳が育つタイミング! 丁寧に向き合うことで探究心が芽生え、“知る”ことの楽しさを実感できると思いますよ。

【竹川】スキー旅では雪に触れることや、スクールで学ぶことも“本物”に触れることになるんでしょうね。高原リゾートでも、今回のハピスノのテーマでもありますが、「なぜ、山(高原リゾート)は涼しいのか?」。そんな疑問を感じてくれたらうれしいですね。

旅育メソッド🄬|思い出を形にして記憶に残す

【村田】最後は、思い出を形にするということ。

以前、脳科学の先生に伺ったのですが、忘れるというのは、脳には残っているけれど使わないと記憶の回路が絶たれてしまう状態のことだそうです。

せっかくの成功体験は記憶に長く留めておきたいですよね。

そのためには印象的なシーンや楽しかったことを繰り返し思い出す機会をつくること、さらに、形に残すことで、旅の記憶を思い出すきっかけになります。

【村田】写真はぜひプリントアウトして家に飾ってください。ほかにも、旅先で得た資料を整理したり、作文や絵日記を書いたり、こういった行動も旅を振り返るきっかけになります。4つめのメソッド、本物に触れる体験を工夫して、農業体験や果物狩り、クラフト作りなどで、収穫物や製作したものを持ち帰れば、見るたびに旅を振り返る機会となりますよ。

【竹川】ハピスノでもイベントで撮影した写真を差し上げたり、キッズキャンプでは絵日記を書いてもらったり。意図していたわけではありませんが、旅育メソッド🄬のひとつを実践できていたんですね。イベントに参加されたご家族の「旅育」に貢献できていたならうれしい限りです。

ハピスノ編集長対談_「旅育」まとめ

【竹川】「旅育」について、さらには、村田さんが提唱されている「旅育メソッド🄬」についてお話を伺えて、本当に勉強になりました。「雪育」のブラッシュアップもしていかねば、と改めて感じているところです。その点でもぜひ、ご協力ください。

そして、最後に、グリーンシーズンのハピスノは「高原リゾート」が舞台です。村田さんは様々な高原リゾートにも旅行や取材におでかけされていると思います。“高原リゾートへの旅”に絞って、旅育的なポイントや提言があれば、教えていただけますでしょうか。

【村田】ハピスノさんの今夏のキャッチフレーズは「酷暑の夏こそ、スキー場へ。」だそうですね。まさに、高原リゾートは避暑を兼ねて快適に過ごせる場所。わたしも、積極的に高原リゾートへおでかけすることを推奨してきたいと思います。

【村田】そして、非日常感のあるなかで、親子ではじめてのことに挑戦するのもおすすめです。

たとえば、ダイナミックでスリリングなアクティビティを体験したり、言葉にできないほどの絶景を堪能したり。大人もはじめてという体験が満載なのも、高原リゾートの魅力です。

昨今のスキー場はSDGsに力を入れているところも多いので、小学生の高学年くらいの子なら、スキー場の夏や冬の取り組みについて、一緒に考えてみるのもいい学びになると思いますよ。

【竹川】そうなんです。スキー場の進化は夏も冬もとどまるところを知らないんです。村田さんも、ぜひ、そんなスキー場へ足を運んでくださいね。

本日はありがとうございました。

【村田】ありがとうございました。

【旅育コンサルタント 村田和子さん】
トラベルナレッジ代表。「旅で、人・地域・社会を元気にする」をモットーに、様々なメディアで活動。47都道府県を親子で踏破し、旅育を実践した息子は京都大学へ進学。旅で親子の絆と生きる力を育む「旅育メソッド🄬」を提唱し、講演・ワークショップなどを行う。

【ハピスノ編集長 竹川紀人】
冬はスキー場、夏は高原リゾートを中心に、様々なメディアで取材・執筆を担当。スキー場情報サイト&高原おでかけ情報サイト「ハピスノ」は2018年に立ち上げ。これまでに取材したスキー場数は200を超え、ファミリー対象の雪上イベントも多数開催している。

ハピスノ編集長●竹川紀人
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ウィンターシーズンはスキー場、グリーンシーズンは高原リゾートを中心に、日本気象協会「tenki.jp」をはじめとする様々なメディアで取材・執筆を担当。スキー場情報サイト&高原おでかけ情報サイト「ハピスノ」は自社メディアとして2018年12月に立ち上げ。これまでに取材したスキー場数は200を超え、ファミリー対象の雪上イベントも多数開催。