ハピスノ
ハピスノ編集長対談

[上村愛子さん×ハピスノ編集長]この冬、親子でスキー場に行ってみませんか?

ハピスノ編集部 2020.12.16
[2019年11月対談]1998年、長野オリンピックでフリースタイルスキーのモーグル競技に高校生で出場。見事7位に入賞し、一躍人気選手となった上村愛子さん。その後、日本モーグル界初となるワールドカップ総合優勝、さらに、五輪5大会連続入賞と輝かしい成績を収めました。そんな上村愛子さんとハピスノ編集長は、10年前から一緒に家族対抗!雪上運動会を行っています。ふたりが語る、子供と楽しむスキーの魅力とは。
  • 久しぶりに「雪って楽しい」と感じられた家族対抗!雪上運動会

    [ハピスノ編集長(以下、編集長)] 愛子さんにずっと参加していただいている「家族対抗!雪上運動会」も今シーズンで10回目です(2019年11月時点)。多くの方に雪の楽しさを知ってほしいという思いから毎年開催しているイベントですが、愛子さんは恒例になった雪上運動会について、どんな感想をお持ちですか?

    [上村愛子(以下、上村)] 雪上運動会が始まったのは、ちょうど私が30歳のときだったんです。この頃、私は選手として忙しく活動している中で、“雪の上で楽しく遊ぶ”ということがあまりなくなっていた時期だったんですね。雪国で育ったので、子供の頃は雪で遊ぶことが当たり前だったけれど、大人になって、いつしか雪上はスキーの練習をするか、競技をする場所になっていて。

    はじめて雪上運動会に参加したとき、子供たちと一緒に雪の上を走り回ったり、逃げたりして(笑) 久しぶりに「やっぱり雪って楽しいな」って感じたことを覚えています。

    [編集長] 毎年、負けて泣いちゃう子もいるんですけどね。

    [上村] そうそう(笑) みんな本気でやってるから。親御さんも一緒に雪まみれになって笑ったり、泣いたり、全力で「がんばれ~」って応援したり…。ああいう空間って作らないとなかなかないんだな~と実感しました。こういう貴重な機会を10年も作り続けてきてくれたことについて、スタッフの方にも、集まってくれる家族のみなさんにも、本当に感謝の気持ちしかないですね。

  • 一緒にスキーをするだけで、自然と家族の距離が近くなる

    [編集長] いま、“雪育(雪上の活動が子供の成長を促進するという考え方)”が注目されていますが、個人的に感じているのは、小さい頃から一緒にスキーをしてきた家族は、子供が中学生・高校生になってもスキーだけじゃなく、レジャーを家族一緒に楽しむ割合が多いんじゃないかということ。自分の周りの家族にそういうケースが多いだけかもしれませんが(笑)

    [上村] その可能性もありますね。でも、スキーが家族の距離を近くしてくれるという感覚はなんとなくわかります。私には小学生の姪っ子と甥っ子がいて、ふたりとは年に2回くらいしか会えないんですが、スキーを一緒にしているから、絆…と言うと恥ずかしいですけど、仲が深まっている感じはします。会うと、「愛子、スキーしたい!」って言われたりして。

    [編集長] 甥っ子姪っ子って、実家で会って一緒に食事をするくらいだと、なかなか仲よくなれないですよね。

    [上村] スキーをしているときは自然体の自分を見せるから、「愛子おばちゃんってこういう人なんだ」ってことが子供に伝わりやすいんじゃないかな。それに、スキー場ではいつも以上に子供から目を離さないですよね。そうすると自然と子供と同じ目線になるし、子供にとっては大人から常に見守られている安心感があるのかもしれません。

    [編集長] スキーの滑りを見て、尊敬してくれる部分もあると思います。子供って、「すごい!」って思える部分があると素直に一目置いてくれるから(笑)

  • どんどん上達していく子供たちを見るのも楽しいという発見

    [編集長] ところで、愛子さんが考える子供と一緒に滑るスキーの魅力はなんですか?

    [上村] 私はスキーを選手としてやってきたので、スキーをやるときはつい攻めちゃうんです。楽しむというより、スピードや技術に向き合っちゃう。でも、子供たちと一緒だとゆっくり滑るから、景色がとてもきれいなことにも気づくことができるんです。

    [編集長] 違う目線でスキーを楽しめるんですね。

    [上村] それに、子供たちと一緒に滑っていると、子供たちの上達を見るっていうことがすごく楽しくなってくるんです。私くらいの年齢になると上達を感じられるまで時間がかかるけど、子供って1本ずつちゃんと上手になっていくんですよ。それを間近で見ていると、子供ってすごいなって思いますし、成長する姿を見せてもらえたことが、すごくありがたく感じられます。

    リフトに乗っている時間も楽しいですよね。普段はゆっくり話す時間がないけれど、「最近、一生懸命がんばっていることはなに?」とか、当たり前の会話をゆっくりできますし。

    [編集長] 先ほどの話とも重なりますが、スキー場では距離が近くなって、会話も弾みますよね。僕の長男はもう大学生ですが、いまでもスキー旅行には一緒に行きますし、家族で行ったスキーの思い出は忘れられないですね。

  • 雪上の親子運動会をきっかけに、最初の一歩を踏み出して

    [編集長] 今シーズン、スキー場に行こうと考えている家族の方々にメッセージをお願いします!

    [上村] スキー場に行くことについて、大人にとっては越えるハードルがいくつもあると思います。クルマで雪道を走ることだったり、子供のウェアをどうしようかなとか、インナーはどうしようかなとか…。でも、スキー場に行くと、すごくその時間を楽しめるようになっていて。

    [編集長] スキー場にいる家族って、みんないい顔をしてますもんね。

    [上村] だから、もし、雪上運動会のようなイベントを知って「こういうのがあるんだ。行ってみようかな」と少しでも思ったら、ぜひその気持ちで飛び込んできてほしいなと思います。準備は完璧でなくても、その経験は次に生かせますし、まずは最初の一歩を踏み出してほしいですね。

    [編集長] 運動会をきっかけに、子供だけじゃなくて、以前スキーやスノーボードを楽しんだお父さん、お母さんがスキー場に戻ってきてくれるとうれしいです。

    [上村] そうですね。親子運動会は、絶対に子供は楽しんでくれると思いますよ! 雪上ですから転んでも痛くないですし、怖い斜面を滑ることもないですし。

    [編集長] 負けて悔しくて泣いた子も、また次の競技があるから、閉会式のときはみんな笑顔になっていますよね。親子競技もあるから、ぜひお父さんにもがんばってほしいです。

    [上村] 逆に親子競技で負けて、お父さんが泣いちゃった子に謝っていたりすることもありますよね(笑) そういった親子のほほえましい姿を見られることを含めて、雪上の親子運動会はすごく楽しいです。

    [編集長] 参加してくれる家族の中には、毎年来てくださる方や、お子さんが運動会を卒業してもお手伝いに来てくださる方もいます。スタッフも毎回、楽しみながらやっているので、はじめての方にもぜひ気軽に遊びにきてほしいですね。

    (2020/21シーズンはコロナ禍を考慮し、雪上運動会の開催はございません)

    上村愛子さん
    1998年長野五輪から5大会連続で五輪出場。最高位はバンクーバー五輪とソチ五輪の4位。ハピスノ編集長が前職から主催している「家族対抗!雪上運動会」には2011年3月6日に初参戦。2019/20シーズンが記念すべき10回目。

    竹川紀人
    ファミリースキー関連メディアのディレクターをしてはや10数年。現在、「ハピスノ」編集長、「ぴあ こどもと学んで遊ぼう」のスキー&アウトドアディレクターを務める。ファミリー対象の雪上イベントも多数主催。2児の父。

ハピスノ編集部
ファミリーを対象にしたスノーリゾート取材本数“自称”日本一の編集部。取材のモットーは、実際に子供を連れて、そのスキー場を余すことなく体験すること。そうして見えてくることを紹介したい! この冬も「ハピスノ応援団」の団員とともに、全国各地のゲレンデに出没する予定。