【編集長対談】星野リゾート トマム「アドベンチャーマウンテン」のアフォーダンス理論を語る

リニューアルに伴い、出てきたのが「アフォーダンス理論」という難解な言葉。今回はアドベンチャーマウンテンの根幹に大きく関与しているこのキーワードについて、開発担当者に伺ってきました。
チョッカリ大魔神とニポの物語

[ハピスノ編集長 竹川紀人(以下、竹川)]この対談記事で星野リゾート トマム「アドベンチャーマウンテン」をはじめて知るという方のために、まずは、アドベンチャーマウンテンについて、改めて、教えてください。
[開発担当者Aさん(以下、A)]アドベンチャーマウンテンをひと言でいうなら、“ストーリー型ファミリーゲレンデ”です。「ハピスノ」さんでは“リアルロールプレイングゲーム(RPG)”とよく表現されていますが、まさにその通りで、子供たちは物語の主人公になりきって、スキーやスノーボードで冒険にでかける、そんな内容ですね。
ストーリーとしては、チョッカリ大魔神と森の妖精ニポ、それに、大魔神の手下、3人のキャラクターが登場します。
チョッカリ大魔神はその名の通り、チョッカリ(直滑降)が大好きで、自分がチョッカリしやすいように森の木をたくさん切ってしまう悪者です。一方、森の妖精ニポは森に住んでいて、木を切られてとても悲しんでいます。
[竹川]まさにRPGのスタートですね。ニポを助けるために、主人公である子供たちが立ち上がる!

[A]大魔神はニポから森を育てるのに必要な「森の種」を奪ってしまいます。主人公にはこの森の種を取り返すというミッションが与えられるわけです。
まず、初級者キッズ向けの「ニポの山」で4つのミッションに挑戦してもらいます。レベルは1~3。ウェーブが並ぶ「ポコジャン」や森の中を滑る「ニポの森」など、各アイテムをクリアすると、ゴールにあるスタンプを押せるという仕組みです。
そして、4つ全部スタンプを押せたらニポからプレゼントをもらって、「チョッカリ山」に挑戦! という流れですね。
[竹川]ニポの山は冒険系のRPGでいうと、まずは、最初のステージで武具や防具を揃えて、経験値をちょっと積んで、冒険者見習いから冒険者のレベル1になった、そんなところでしょうか(笑)

[A]「チョッカリ山」にはレベル3~5のアイテムがあります。こちらも各アイテムをクリアすると、スタンプを押せるのですが、ニポの山とちょっと違うのは、このスタンプが呪文になっているんですね。すべてのスタンプを集めると、チョッカリ大魔神を倒せる呪文が浮かびあがってきます。
[竹川]そうそう、このあたりが憎いんですよ。子供のやる気を促すというか。次男を連れてきたことがあるのですが、あまりこの手のアトラクションに興味を示す方ではないと思っていたんです。でも、かなり真剣にやっていて。しかも、ひとつクリアできなくて、目に涙を浮かべていたんです。
これぞ、雪育! スキー&スノーボードを通じて、子供の成長を感じられる瞬間でした。しかも、子供のやる気まで引き出してくれる。わたしがいままで以上に、アドベンチャーマウンテンに傾注したきっかけでした。
[A]お子さんにはもう一度、遊びに来ていただきたいですね! 2024/25シーズン、“チョッカリ大魔神からの挑戦状”というファイナルステージが完成したんです。
総合的なスキー&スノーボードの滑走技術が求められるステージで、「シーソーブリッジ」「ベルベル」「チョッカリウェーブZ」といったNEWアイテムで埋め尽くされています。
[竹川]各アイテムの名前を聞くだけでもワクワクしますね! わたしの子供たちはかなり大きくなっているので、次は孫かな~。三世代でお伺いします。
アフォーダンス理論で子供を伸ばす!

[竹川]リニューアルされたホームページもかわいいし、かっこいいですよね!
[A]ありがとうございます。星野リゾート トマムに来る前に、ホームページで「アドベンチャーマウンテン」のストーリーに触れて予習し、家でも楽しめて、旅行先でも体感できるという、欲張りな遊び方ができるようにと考えました。
[竹川]子供たちはイラストや動画でRPGの予習を楽しくできますし、なんといっても、「チョッカリ山」と「ニポの山」をあわせて11個あるアイテムの、それぞれのトレーニングの目的やどんな滑走技術が習得できるのかが紹介されているのが最高だと感じました。
パパ・ママが子供にスキーやスノーボードを教えるのって、なかなか難しいと思うんですよね。それが一緒に遊んでいるうちに、しっかりとプログラムされたレッスンを受けているような時間を過ごせる。本当に、多方面から完成された“雪育”コンテンツだと感じています。

[竹川]そして、ここからが本題です。「アフォーダンス理論」。すでに、何度か記事を書かせていただいているのですが、まだ、100%理解できていないような気がしています。
[A]難しいですよね…。今回のアドベンチャーマウンテンのリニューアルの核となっているのが「アフォーダンス理論」なんです。噛み砕いてみると、人が「座る」「森を歩く」「階段を歩く」といった行動は、環境が身体の動きを促している、ということを言語化したような理論です。
[竹川]また難しくなった(笑)
[A]物や環境が人に対してどんな行動を促すか、なにを可能にするかという考え方です。スキーやスノーボードにおけるアフォーダンスとは、雪質・斜度・幅といったコースの状況やバンク・ウェーブといったアイテムの形状、ギアやウェア、さらには、どんな人と一緒に滑るかなども挙げられます。
常に変わりうるこれらの状況を判断し、その環境に適したように滑ることがスキー&スノーボードの上達につながると考えられているんです。

[竹川]先ほど、ホームページに各アイテムのトレーニングの目的やどんな滑走技術が習得できるのかが紹介されているとお話しましたが、そこに「アフォーポイント」も書かれていますよね。アフォーダンス理論的な、それぞれのアイテムの優位性がわかりやすいです。
[A]そうなんです! たとえば、いちばん人気の「チョッカリウェーブと見晴らし台」は、ホームページを読みあげると「チョッカリウェーブには、最後のゴールである見晴らし台へ登るという目的があります。そのためには、起伏を乗り越えながらスピードをつけなければいけません。目的をはっきり持つことで、スキー操作に必要な身体の動きが自然と身につきます」。
そのほかにも、「スペシャルステージ」では「シーソーブリッジ」が「急激な斜面変化と重力変化にポジションを合わせる。このことによって斜面変化の対応力がつきます」だったり、「チョッカリウェーブZ」は「ポンピング(上下動)をすることによって加速したり、減速したりできる感覚が習得でき、立体的な身体の動きと力の関係を学べます」だったり。
こういったアイテムがもたらす効果を理解いただけたら十分かと思います。
[竹川]アフォーダンス理論、もう少し、深堀して調べてみますが、現段階では、具体例として理解しておきたいと思います(笑)
子供たちにとって、遊びながら滑りが上手になって、やる気を起こしてくれて、そして、RPG的なゲーム感覚は仲間たちとの研鑽にも最適。さらには、滑走技術的にもしっかりと裏付けされた理論があって。今回は、様々な角度から子供の成長が期待できるアクティビティであることを再認識できました。
ありがとうございました!
星野リゾート トマム「アドベンチャーマウンテン」_まとめ

わたしがファミリースキー&スノーボードに特化した取材をするようになって、はや20数年。
まずは、スノーモービルやスノーラフティングといった雪上アクティビティの登場を背景に、“雪の遊園地”をキーワードとして、「スキー場のテーマパーク化」を訴求。さらには、リゾートホテルの存在やゲレ食の進化、絶景テラスの誕生による「スキー場のリゾート化」を訴えてきました。
そして、テーマパーク化とリゾート化に加え、もうひとつの柱が、スキー&スノーボードが子供の成長に寄与するという“雪育”という考え方です。
星野リゾート トマムの「アドベンチャーマウンテン」は、まさに“雪育”を体現するアトラクション。北海道という立地柄、本州の親子は年に何回も遊びに行くことはできないかもしれませんが、たとえば、子供の卒園や小学校卒業といった、なにかの記念旅行として、ハピスノ編集長イチオシの星野リゾート トマム「アドベンチャーマウンテン」を体験してみてください。
